既存の樹木と建築計画

また、かかわった人すべてが、ここにある木々に人格的なものを感じていた。枯らすまいとする思い、水遣り、養生等施工者側の努力はもちろん、みんなの気配りの結果、建物と樹木が渾然と相関したこの計画が実現した。

既存樹は、単に保存すると言うより積極的に建築計画の中に取り込むことを基本とした。施主たちの中ではそれぞれの樹木が物語を持っていて、建築計画はそれらの物語に建物を組み込む作業であったと言える。

さくら

入り口のさくらはこの施設を代表する樹 としてシンボリックな扱いをしている。 夕方、投光器が反対側の局面壁にさくら の影をくっきりと落とす。

 ニセアカシア

 この交流センターは、園内だけではなく 地域に広 く開かれた施設である。対面に 住棟があるため、 管理上の問題が発生す るが、ここではニセアカシ アの残る丘状 の林をフェンスのように扱っている。 また、この林は半透明のスクリーンのよ うに視覚 的にも互いの領域を隔てる役目 をこなしている。

黒松

東側の黒松の巨木のそばに、特に住棟 をぎりぎりまで寄せた。 バルコニーに接近した黒松は、時に木 登りの対象となったり、 ハンモックの ささえになったり、また、居間に影を 落としたり、時に海辺に風景を想起さ たりもするような、子供の生活に密接に係ってくれることを期待した。

 シュロ

 シュロの大木は、その存在を際立たせるため、囲む ように柱を円状配置とし、中庭の支配者であるような扱いをした。据えた。日陰になる部分の芝の育ちが懸念されたが今は問題なく育っている。