■西側は、冬の暴風に対して、節足動物の甲羅のような堅固なイメージとなるようにしたかった。玄関も西面は車庫でガードし、南から出入りするようにした。

■東側は、西側とは全く対照的な外観となるようにした。剛に対して柔、開放性を湾曲壁で表現しつつ、荒れ狂う季節風から中庭を守る衝立のようになイメージを与えたかった。
実際に、ウィングを敷地巾いっぱいに張り出し風を防いでいる。

■尚、中庭と前庭には消雪装置を用いている。



内部計画

■湾曲壁(ガルバリウム鋼板スパンドレル)の内側は吹抜けを含むオープンな空間となっている。
居間、ダイニング、和室、応接室はすべて中庭に面していて扉を開け放てばパーティ時などは一体空間となる。

日本海からの西風と雪を避け、東に開く家

■敷地は秋田県横手市の郊外にある。少し前まではのどかな田園地帯であった。しかし今は西側の幹線道路に沿って大型店舗が林立、敷地周辺も宅地化が進み、アパート類も建ち始めた。部分的に見れば東京郊外と変わらない。

■また、隣のアパートの居間の開口は当敷地側に向けられていた。従ってこのアパート側つまり南に大きく住居開口を開く計画は、敷地幅が狭いことも併せ考えれば、プライバシーの確保上難しいと思われた。
結果的に、主室の開口を東に取り、東西方向に主軸を持たせる配置とした。

■日本海から吹く冬の西風はすざましい。これを小さな開口のセメント板外壁で防ぐ。東には湾曲壁で包み守るように中庭を置く。居間や和室、寝室は中庭に開く。東に延びる庭もここを起点とする。
■細長い敷地形状から、西に前庭(車庫〜外部パーキング〜アプローチ) 次に母屋、さらに東庭、以上の3部構成とした。

■庭周辺のひばは、往年の屋敷林のように敷地を守り、母屋の湾曲壁により受け止められる。建物と庭の一体感を表現したかった。

配置計画

前庭、中庭、東庭

ひばの新規植え込み